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年間オセロゲーム・番外編
 「嶂、兄ちゃんは悲しいぞ」
人がのんびり食後のくつろぎを満喫してる最中、兄貴は急にきりだした。
「兄貴にも何かを悲しむ心があったという事実にむしろ驚きがあるんやけど、それは俺の気のせいだったと見ていいのか迷うところやな」
「…弟にそんな兄と思われていたのもぐさっとくるな」
とりあえず遠まわしに兄貴をいじめてみたら、それなりの効果があった。てか、いつもこのパターンなのに必ずはまる兄貴もどうかと思う。
「そんで兄貴は何が悲しいんや?」
「何が悲しいって嶂、男が悲しがる理由なんて一つしかないだろう」
「そんだけじゃ分からんて」
はあと深くため息をついて、兄貴は俺を羨ましげな目で見た。実の兄に羨望の眼差しを受けるなんて生まれて初めてだぞ。そんな兄弟がいるなんて話も聞いたことがないけど。
「笠槙 緤、生まれてこのかた二十三年、彼女といえる存在ができたことがない!男としてこれほど悲しい事があるか!?」
「あー確かに」
「…何故そこで棒読みするんだ嶂」
事実現在進行形で俺には彼女がいるから…って、兄貴知ってるはずだろオイ!
「そんなに彼女ほしいんやったら莉柚の友達でも紹介してもろたらええやん」
「兄ちゃんはロリコンじゃないぞ」
確かに。…てか弟の俺が言うのもなんだけど、何故兄貴には彼女がいないんだ?別段ブサイクでもないし、むしろ顔だけだったらかっこいいの部類なのに。
「合コンとかは」
「知人の彼女の友達その他諸々とやっても全然ダメ」
さいですか。
「なぁ、稚弥乃ちゃんにお姉さんとかいるのか?」
はい?まさか兄貴今度は俺伝いで行く気か!?
「ちょい待てや。稚弥乃ちゃん経由で彼女ゲットする気かよ兄貴!?」
「そのまさか」
生まれて初めて実の兄に殺意を感じた瞬間。
…しょうがない、弟として最初で最後の「兄貴の為に組む合コン」をやってやろうじゃないか。

 「……で兄貴、結果はどうだったんや?」
稚弥乃ちゃんの姉とその知人数人を含めてやった合コンの結果、兄貴は彼女をゲットできたのか興味本位で訊いてみた。なんか随分暗いけど、それはダメだったと受け取っていいのか微妙なところ。
「………嶂、稚弥乃ちゃん本人はかなり美人だよな」
「?」
確かに稚弥乃ちゃんは学校のミスコンで優勝した正真正銘の美人だ。
「似てない兄弟っているもんだな……」
「…えーと、それはつまり」
「稚弥乃ちゃんのお姉さんは稚弥乃ちゃん本人と似ても似つかないほど美人じゃなかったということだよ、弟よ」
………あれまぁ。
「うーん、数字であらわすといくつくらいで」
「稚弥乃ちゃん本人を100としたら0.01くらい」
低っ!


しかたないので慰めの気持ちで兄貴の背中をたたいて言っておこう。

「兄貴、春は遠いよ」
「イタいコメントありがとうよ、弟よ…」