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午後の授業が終わり、各々の行動を始める生徒達の声。 |
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龍亮 | …今年も始まるんだな、文化祭。 |
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皓 | 会長、お茶入りました。 |
凛 | また始まるわけか、勝負が。 |
雅 | 体育祭では惨敗したけど、今度は負けないようにしよ、会長! |
龍亮 | 当たり前だ、2連敗したらそれこそ今年は「黒」に乗っ取られることになる。それだけは絶対に避けなきゃならない。 |
皓 | そうですよ。黒は我が校が荒廃する大きな要因、好き勝手はさせません。 |
凛 | けどちょっと難題だよな。 |
雅 | どうして? |
凛 | だって今年の1年、黒派が多いじゃないか。 |
龍亮 | 数に気圧されたから体育祭で負けたんだ。けど人は多くなるとその分団体心理が働いて、1人1人の意思が弱くなりやすい。 |
皓 | つまりそれは…団結力がないと、意味がないと? |
龍亮 | そう、そして人が増えて日が浅ければ尚更だ。団結力がまだ弱いところを突けば…。 |
凛 | 今度は白の勝ち、ってところか。 |
雅 | いいじゃんいいじゃん?これでやっと憎たらしい黒を潰せるよ! |
龍亮 | 雅、それは早計だ。文化祭は3週間後なんだから。 |
雅 | でもでも、僕らの思惑通りに黒が動けば…。 |
皓 | あの忌々しい黒が思惑通りに動いてくれればいいんですけどねえ…。 |
雅 | 単細胞なあいつらなら、絶対思惑通りに動くよ! |
龍亮 | まあ、作戦を練るに越したことはないな。それで、文化祭の予算についてだが…。 |
人ごみの音アップ。廊下で連を見つけた嶂が声をかける。 |
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嶂 | 連! |
連 | おう、嶂じゃん。どうよ12月に出る学校誌のほうは? |
嶂 | 順調やで。あと足らんのは…。 |
連 | 言わなくても分かってるって。俺らのことだろ? |
嶂 | 当たり。そんじゃあ早速インタビューさせてもらうで!今年の体育祭は圧勝やってんなぁ。 |
連 | 当たり前だろ?あれが俺ら黒龍会の実力なんだからな。 |
嶂 | お、随分余裕やな。ほんじゃあ文化祭の方もバッチリなん? |
連 | もちろん!今年は黒が2冠で決定だ! |
龍亮 | 黒は黒星、本来の姿は負けを意味してる。そんな黒が白になれるわけがないだろ。 |
連 | てめぇ…。 |
嶂 | お、龍亮やん。丁度ええわ、文化祭での対立ぶりをインタ…。 |
連・龍亮 | しなくていい! |
連 | うわ、キモッ。はもってるし! |
龍亮 | 好きではもったんじゃない。 |
嶂 | 見事に息ピッタリのナイスツッコミやってんなぁ~。 |
楽しそうに笑う嶂。その様子を見て深いため息をつく龍亮と連。 |
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連 | なんでこんな奴とコントやらなきゃいけないんだよ…。 |
龍亮 | それはこっちの台詞だ。 |
連 | 今年の体育祭に負けた白に言われる筋合いないね。 |
龍亮 | 言ってくれるな…。文化祭はそうはさせないからな。 |
連 | へーえ、随分弱気なコメントですね。汚れた白星様。 |
嶂、手を叩いて会話を止める。 |
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嶂 | はいはい、そこまでにしといてんか?せっかくやから龍亮先にインタビューさせてもらうでー。 |
嶂、龍亮の腕を掴む。もう一方の手を連に振る。 |
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龍亮 | ちょっ…嶂! |
連 | なるべく時間たっぷりかけてインタビューしてやってくれよー。その間に作戦練ってやるから。 |
龍亮、「放せー」と叫びながら嶂に連れて行かれる。すれ違い様に有栖が駆け足でやってくる。足音FI。 |
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有栖 | あ、会長!やっと見つけた! |
連 | ん?なんだ有栖か。 |
有栖 | なんだじゃないですよ、早く来て下さい!黒の作戦会議始まりますよ! |
連 | え?今日あるなんて聞いてないぞ? |
有栖 | 急きょ決めなきゃいけなくなった事ができたんですよう。白も毎日作戦練ってるみたいですし、早くしないと先越されちゃいますよ! |
連 | なんだって!?白に追い越されてたまるか!有栖、行くぞ! |
連・有栖、駆け足で会議室に向かう。足音FO、人ごみの音ダウン。 |
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優 | 会長、遅いですよ。 |
有栖 | 廊下でまた白にケンカ売られて買ってたみたい。 |
連 | 売られたケンカは買うもんだろ。 |
有栖 | 普通買いませんよー。ま、いいですけどね。会長のことですし。 |
連 | ほっとけ。…瑳羅は? |
優 | 今日はまだ見かけてないですね。 |
連、ため息。 |
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連 | また色々と出勤の支度でもしてんだろうな。全く…。 |
そこにヘリの音FI、次第に大きくなる。 |
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有栖 | あ。来たみたいですね。 |
優 | 今日は37分の遅刻…と。 |
有栖 | 瑳羅さん、学校近いんだから普通に来ればいいのにね。 |
連 | それはないだろ。あいつの場合元が普通じゃな…。 |
会議室のドアが勢いよく開く。 |
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瑳羅 | オーホホホホ!御免あそばせ、少し支度が遅れてしまいまして。 |
連 | やっと来… |
瑳羅、連を完全無視して言葉を続ける。 |
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瑳羅 | でもこの私、秣本瑳羅がここに来たからには一般庶民の無駄な提案は必要ありませんわ!私がこの黒龍会を再び勝利へと導き、不要な白いシミなど塗り潰してあげますわよ。オホホホホ! |
連、瑳羅に言葉を遮られるも無視。即座に有栖に話題をふる。 |
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連 | で、有栖。決めなきゃいけない議題は? |
有栖 | 3週間後にやる文化祭の費用に関して、優から意見があるそうです。 |
優 | 白への妨害についてですが、前回会長が出した案ですと少し予算をオーバーしてしまいまして…。 |
この間瑳羅「人の話を聞いておりますの!?」と文句を言う。人ごみの音、優・瑳羅の声と共にFO。同時にカラスの声がFI。 |
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晴鵺 | お前はしばらく眠ってろ…龍亮。 |
パソコンを打つ音。パソコンを打っている連は背後のドアが開く音に気付かない。ゆっくり連に近づく足音。 |
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晴鵺 | 連? |
驚いて椅子から落ちそうになる連。 |
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連 | な、てめぇ…龍亮じゃないかよ!何しにきた! |
晴鵺 | 龍亮?違えよ。俺の名前は晴鵺だ。 |
連 | 晴鵺?何言ってんだ、どうみたってお前龍…。 |
様子が違うのに気付き、晴鵺と名乗る男の顔をまじまじと見つめる。 |
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連 | …なんか違うな。龍亮はもうちょっとこう、目の色が青かったような…。 |
晴鵺 | な?違えだろ? |
連 | (こいつ何者だ?龍亮に瓜二つだけど、あいつに双子がいるなんて聞いたことないし…) |
連 | お前…誰だ? |
晴鵺 | 晴鵺って言ってるじゃねーか。とりあえず、黒の味方…だな。 |
連 | 黒の味方…? |
晴鵺 | そう。味方。 |
疑心暗鬼の連。 |
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連 | …で、俺に何の用だよ? |
晴鵺 | 一度あんたと話がしてみたかったんだ。連なら、俺と気が合うんじゃないかと思ってさ。 |
連 | 気が合う、ね。 |
晴鵺の格好を観察する連。背格好は龍亮だが、着崩した制服は龍亮にありえない。晴鵺を龍亮とは別人だと認識し、気心知れた態度に変わる連。 |
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連 | 本当あいつとは違う人みたいだな。疑って悪かった。 |
晴鵺 | 気にすんな、いつもの事だからよ。で、今何やってたんだ? |
連 | あぁ、昼間優…会計から予算オーバーって言われてさ。いくつか切ってくれって釘さされたんだ。 |
晴鵺 | ふーん…。あ、これは龍亮嫌がるから消さないほうがいいぜ。 |
連 | お、まじで?サンキュー。 |
キーボードを打って直す連。 |
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連 | 晴鵺って言ったっけ。お前さ、龍亮の弱点知ってんの? |
晴鵺 | 知ってるさ。18年間あいつを見てきたんだから。 |
連 | 付き合い長いのな。じゃあ、あいつは晴鵺のことは…。 |
晴鵺 | 知ってる。俺があいつを嫌いなのも知ってる。 |
連 | 付き合い長いのに嫌いなのかよ。変な話だな。 |
晴鵺 | 腐れ縁ってやつだよ。あんな奴と仲がいいなんて想像しただけで気持ち悪い。 |
連 | 分かるなあそれ。お前とは気が合いそうだな! |
晴鵺 | だろ?これからあいつの弱点どんどん教えてやるよ。 |
連と晴鵺、楽しそうに会話すると共にFO。それに重なって人ごみの音、FI。雅、廊下を走ってきて生徒会議室に入ってくる。 |
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雅 | いよいよあと1週間だね。 |
皓 | この2週間、黒からの妨害は全くなしですね…。あ、会長。お茶はいりました。 |
皓、お茶を配る。凛、お茶を受け取り一口すする。 |
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凛 | いいんじゃないかい?お陰で準備もサクサク進んでるんだし、何も問題はないだろう? |
雅 | それはそれでなんか怪しい感じがする…。僕ちょっと罠仕掛けてこようかな。 |
皓 | それは止めておいたほうがいいと思いますよ。 |
雅 | どうして?何にもしてこないなんておかしいよ。 |
皓 | 確かに怪しいですけど、だからって相手を逆撫でするのは自滅行為だと思いますよ。 |
雅 | でも…。 |
龍亮 | 皓の言う通りだ、雅。逆撫でして被害を被るのは自分だけじゃないんだぞ。 |
凛 | あたしは構わないよ。お前さんがどうしてもそうしたいって言うんならね。 |
雅 | …でも…。絶対変だよう…。 |
勢いよくドアが開き、嶂が入ってくる。手にはなにやら書類の束を持っている。 |
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龍亮 | 嶂? |
嶂 | 龍亮、ちょっとこれ見てみ! |
嶂、書類を龍亮に手渡す。 |
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龍亮 | どうかし…。 |
龍亮、受け取った書類を見て手が止まる。 |
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龍亮 | これは…。 |
嶂 | 昨日黒の会議室で見つけたんや。この2週間、黒がなんの妨害もしてこんかった理由と思えんか? |
龍亮 | 文化祭におけるプールの使用許可…? |
皓 | そういえば今年はプールを使うクラスがあった気がしますけど…。他クラスが使う場合は許可が下りないはずですよ。 |
嶂 | ところがどっこい。この書類を見る限り、使用が許可されてるんや。 |
凛 | また黒がろくでもない事考えてるんじゃないかい? |
龍亮 | プール…か…。 |
凛、龍亮の様子に気付き小突く。 |
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凛 | 龍、顔! |
龍亮 | あ、あぁ。 |
二人の様子に気付かず話を続ける雅。 |
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雅 | でも確か、黒が使ってる会議室って3年生の教室だよね? |
嶂 | せやで? |
雅 | それだったら別に気にしなくていいんじゃない?3年生でなんかやるんじゃないの? |
嶂 | そない話聞いてへんで、俺。それにプールを使うのは確か2年のはずや。 |
皓 | ともあれ、用心するに越したことはないですね。 |
凛 | そうだねえ。情報に敏感な報道部長が知らない以上そうしたほうがいいんじゃないかい?あたしはそう思うけど。 |
龍亮 | …この書類は嶂に預けておこう。俺らとは関係ないものかもしれない。 |
嶂 | そうかー?そんじゃあ俺が預かっとくで。 |
嶂、龍亮から書類を受け取り会議室を去る。ドアの音CI・CO。 |
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皓 | 会長、どうかしたんですか?顔色が悪いですよ? |
龍亮 | あ、いや…な、何でもない。 |
凛 | さ、仕事仕事。皓、お茶おかわりいれてくれないかい? |
皓 | 凛さん飲むの早いですね…。分かりました、すぐお出しします。 |
人ごみの音アップ。たわしでプール内を洗う音FI。 |
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優 | ていうかさ…。僕ら、なんでこんな時期にプールなんか洗ってんの? |
有栖 | なんでって会長に言われたからだけど…僕にも分からないよ…。 |
瑳羅 | 全くもう、なんでこの私がプール掃除などしなくてはなりませんの!?プールを使うのは他の組じゃありませんこと? |
有栖 | おまけに会長本人は僕たちにやれって言ったっきり見当たらないし…。どこ行っちゃったんだろ。 |
優 | ただでさえ普通のプールより広いんだから。3人で掃除すること自体無理があるよ…。 |
有栖 | 本当にね。まだ3分の1くらいしかブラシかけてないよ。で、そのあとに水出して汚れ流してまた水張って…あー、考えるだけで疲れるよう。 |
瑳羅、ブラシをかけるのをやめて壁にかけるとため息をつく。 |
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瑳羅 | もう、私疲れましたわ。後はお任せいたしますわ。 |
優 | え?ちょっ…。 |
瑳羅、さっさと更衣室の方に向かっていく。それを止められずうな垂れる優。 |
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優 | …行っちゃった。 |
有栖 | 身勝手なギリギリお嬢…。 |
有栖、小さく呟く。次第に瑳羅の去った方向から足音が聞こえてくる。 |
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瑳羅 | 今、何かおっしゃいまして? |
有栖・優 | いえ、何も! |
瑳羅、「それならよろしくてよ」と踵を返して去る。足音CI・CO。 |
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優 | まずいよ有栖、それ禁句。 |
有栖 | つい本音が…。 |
優 | 今まで言った事なかったけど、あんなに怒る瑳羅さん初めて見たよ…。気をつけよ。 |
有栖 | そうだね…。 |
優・有栖、掃除再開。ブラシの音CI。更衣室から連がやってくる。 |
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連 | あー、頑張ってるな~。 |
優 | 頑張ってるなあって言ってるなら会長も掃除して下さいよー。 |
有栖 | それに瑳羅さんがサボってどっか行っちゃって、まだブラシも3分の1しかかけられてないんですよ? |
優 | そうそう。2人でやってたら日が暮れちゃいますよ。 |
連 | あーもう、分かった分かった!俺もやりゃあいいんだろ? |
有栖 | 最初から正直にそうしてくださいよ、会長。 |
連、ブラシを取り掃除を始める。 |
|
優 | そういえば会長、ずっとどこで何をやってたんですか? |
連、ギクッとして一瞬手が止まる。 |
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連 | あー?そりゃ、あ、あれだよ。予算オーバーだから削れって言ってたやつ削ってたんだよ。 |
有栖 | 削減項目のリストですか? |
連 | そう、それそれ。 |
優 | 削減リストなら昼休みに出してもらったじゃないですか。 |
有栖 | 会長、嘘つきましたね。本当は何やってたんですか! |
連 | あー、悪かった悪かった!ちょっと魔がさして遊んでたんだよ! |
有栖 | 文化祭前によく遊んでられますね…。白潰す気あるんですか? |
連 | あ、あるに決まってるだろ!ちゃんとそのための協力者も現れたんだし! |
有栖・優 | 協力者? |
有栖・優、ブラシをかける手がとまる。 |
|
連 | そ、協力者。こいつがすげー奴でさ、白の弱点よく知ってるんだよ。 |
有栖 | 白から黒に寝返った人ですかね? |
優 | でも、一度白か黒か決まったら寝返る人なんてそうそういませんよ? |
連 | その辺は俺も知らないけどな。何にせよ、あんだけ白会長の弱点を細かく知ってるんだからガセじゃないのは間違いなさそうだ。 |
優 | 珍しいですね。 |
連 | そんで、一度作戦会議にそいつを呼ぼうと思うんだよ。そしたらもっと効率的な作戦が作れそうじゃん? |
有栖 | その人なら頼れそうですね! |
連 | …遠まわしに頼りない会長って言ってないかそれ? |
有栖 | 気のせいです。 |
優 | じゃあ、今度の会議にその人連れてきて下さい。会長に出してもらった削除リストだけでも、まだ予算オーバーしてるんで。 |
連 | あれだけ削ったのにまだオーバーしてるのかよ…。まあ分かった、次の会議は今日の5時から。いいな! |
有栖 | 早! |
連 | 善は急げってやつだ。瑳羅が戻ってきたら言っといてくれよ。 |
有栖・優 | ラジャー! |
人ごみFO。有栖・優、会議室に入ってくる。有栖、珍しく時間通り来ている瑳羅に「瑳羅さん珍しいですね」など声をかける。だいぶ経ってから連がやってくる。 |
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有栖 | 会長、遅すぎです! |
連 | わりぃわりぃ。 |
と、突然開くドア。招かれざる訪問者に驚く一同。 |
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嶂 | おー、やっとるなあ。 |
連 | 嶂!?お前なんでここにいるんだよ!? |
嶂 | 何でって、昼間話聞いたからに決まってるやん。報道部長なめたらあかんで。 |
連 | まあいっか…。 |
瑳羅 | 全く、なぜ私がこのような時間に学校に来なくてはなりませんの?早く帰らないとお肌が荒れてしまいますわ! |
有栖 | (まだ5時なのに…) |
優 | それで会長、強力な助っ人さんというのは… |
再びドアが開く。 |
|
晴鵺 | 俺のことだよ。 |
有栖・優 | 白会長!? |
有栖 | なんで白会長がここにいるんだよ!? |
優 | 会長、まさか白に寝返ったとは知りませんでした…。 |
連 | ちがうっての、誤解だ! |
晴鵺 | お前随分誤解されてんなあ、連。 |
連 | (自分がその原因だと気づいてくれ…晴鵺) |
瑳羅 | それで、白の会長ともあろうお方が黒に何の御用事ですこと? |
優 | そうですよ! |
連 | いや、こいつは龍亮じゃないんだ。 |
有栖 | 会長、目大丈夫ですか? |
連 | 俺の視力はいつでも2.0だ! |
晴鵺をよく見て気付いた嶂、気さくな声で話しかける。 |
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嶂 | あれ、晴やんか。最近見なかったからどないしたんか思ってたんやで! |
晴鵺 | お、久しぶり。ちょっと色々あってさ、なかなか来られなかったんだよ。悪い悪い。 |
連 | 嶂、知り合いだったのか? |
嶂 | 結構前からなー。外で結構つるんで遊んでるねん。 |
連 | へええ。嶂も結構不良だなー。 |
嶂 | へっへー。 |
優 | あれ、よく見たら白会長と目の色が違いますね。 |
有栖 | え?…本当だ、紫色だね。 |
連 | だから言ったろ?龍亮じゃないって。 |
有栖 | でも見た目は白会長そっくり…。 |
連 | 俺も最初はそう思ったけど、本人は違うって言うんだ。 |
優 | じゃあ彼は一体誰なんですか? |
連 | 晴鵺っていうんだ。一応俺らの味方らしいが…。 |
晴鵺 | 連、まだ疑ってるわけ?プール使う事考えたの俺なのにさ。 |
有栖 | えっ、あれ考えたのこの人だったの? |
優 | 僕てっきり会長が考えた代替案かと思ってました。 |
瑳羅 | うちの会長はアイデンティティも低いですわね。 |
連 | いや、その、それはだな…! |
有栖 | とりあえずどういう事か説明して下さいよ会長。 |
しばらくお待ち下さい。 |
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有栖 | そんな事があったんですか…。 |
優 | 妙に都合が良すぎる感じがしますけど…。彼は何者なんですか? |
連 | だから俺らの味方だって。俺と気が合うところも多いし、龍亮の弱点知ってるようだし。 |
有栖 | そうはいうけど…。 |
連 | 何にせよ、晴鵺がいて黒にマイナスになることはないんだ。いいじゃんそれで! |
有栖 | うーん…。 |
瑳羅 | 私はこの人好きになれませんわ。 |
連 | 瑳羅! |
瑳羅 | 白の会長に似てらっしゃるようですけど結局はどこの馬の骨とも知れない方、根拠もない知恵をいただいても意味がありませんわ。 |
晴鵺 | 安心しろ、俺だってお前みたいなタカビーでギリギリお嬢大っ嫌えだから。 |
優 | あ、言ってはいけないことを…。 |
瑳羅 | なんですってぇ!? |
有栖 | さ、瑳羅さん落ち着いて! |
瑳羅、怒りを露にして晴鵺に駆け寄る。晴鵺、意に介さず瑳羅の頭を押さえて止める。 |
|
連 | あーぁ、瑳羅の奴ギリギリお嬢って言われるとキレるんだよ…。 |
晴鵺 | あ、そうなんだ。へえー。 |
晴鵺、瑳羅にギリギリお嬢を連呼して遊ぶ。瑳羅は都度逆上するが手も足も出ない。 |
|
瑳羅 | こ…この借りはいつか返してさしあげますわよ! |
瑳羅、ドアを開けて帰ってしまう。 |
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連 | あーあ、帰っちゃった。 |
有栖 | 瑳羅さんが初めて負けた…。 |
晴鵺 | ああいうのって見てるだけでむかつくんだよ。清々した。 |
優 | …僕も帰ります。 |
有栖 | え?あ、待ってよ優! |
優、急に不機嫌になって帰る。それを追いかけるように有栖も帰る。 |
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晴鵺 | …初対面で嫌われ者かよ。やな感じ。 |
連 | んー、まあこれでも生徒会だしな。不良はお嫌いって風情が残ってるんだよ。 |
嶂 | 連も生徒会やん。 |
連 | 俺は不良だろうと気が合えば誰でもOK! |
晴鵺 | 気が合えば蛙でもいいんだな。 |
連 | …人間限定で頼む。 |
BGM有の場合、FO。ナレーター「文化祭当日」。人ごみと賑やかなBGM、FI。 |
|
雅 | …で、結局黒は何の妨害もしてこなかったね。 |
凛 | 文化祭始まってからもう3時間、未だ妨害なし…と。 |
皓 | 黒派からのちょっとした嫌がらせはありますけど、妨害というほどでもありませんしね。あ、時間なんで僕クラスの方見てきます。 |
雅 | いってらっしゃーい。 |
皓、立ち上がって出て行く。 |
|
雅 | そういえば会長どこ行ったんですか?凛先輩。 |
凛 | 朝の最終準備で見たきりだけど…自分のクラスの方にでも行ってるんじゃないかい? |
雅 | 忙しいんですかねー。 |
凛 | ま、そのうち戻ってくるだろ。 |
人ごみボリュームダウン。静かな音楽が流れ、喫茶店の注文の声が行き交う。 |
|
皓 | あ、そこっ!沸騰したお湯でお茶をいれないでください! |
生徒A | すいませーん。 |
皓 | ああー…だからって紅茶パックにもしないで下さいー…。 |
「いらっしゃいませ」の声が聞こえる。BGM有の場合は瑳羅のテーマ。 |
|
瑳羅 | オホホホホ!随分やきもきしてらっしゃるようですわね。あ、そこのあなた、このチョコクッキーお願いしますわ。 |
生徒A | かしこまりました。チョコクッキー一つお願いしまーす! |
皓 | あなたは確か黒の…。 |
瑳羅 | ふーん…店内の雰囲気はまあまあですわね。でも紅茶のパックにするのはいただけませんわよ。 |
皓 | すぐに本格ティーをお出ししますよ。それで、黒の書記であろう人が何の御用事ですか?秣本さん。 |
生徒A、チョコクッキーを持ってくる。 |
|
生徒A | お待たせいたしました。チョコクッキーになります。 |
瑳羅 | よろしくてよ。…なかなか凝った作りのクッキーですわね。 |
皓 | 本格喫茶店が出し物ですからね。素材選びに妥協はしていませんよ。 |
瑳羅 | 私の口に合わなければ本格ではございませんわよ。…そうそう、忘れてましたわ。あなた、文化祭が始まってから白の会長にお会いしまして? |
皓 | いえ…、クラスの方へ行ったっきり。 |
瑳羅 | 仮にも会長を敬愛する副会長がそれでよろしくて?白の絆は随分と薄いことですわね。 |
皓 | …何がいいたいんですか? |
瑳羅 | 言葉どおりですわ。そんなことでは今年の白も終わりですわね。…ここのクッキーはまあまあ美味しいですわね。明日もいただきますわ。 |
皓 | まさか…。 |
瑳羅 | ではごきげんよう、白の副会長様。 |
瑳羅、立ち上がって教室を去る。 |
|
生徒A | ありがとうござい…月瀬君、どうしたの!? |
皓 | すみません、少し席を外します!あ、紅茶パックは使わないで下さいね! |
皓、慌てた様子で教室を出て行く。別の教室に向かう。 |
|
生徒B | あれ、白の副会長じゃん。 |
皓 | あ、か、狩宮先輩丁度良かったです!会長いらっしゃいませんか!? |
生徒B | 鴎萬?いや、文化祭始まってから見かけてないぜ? |
皓 | そうですか…。分かりました、ありがとうございます! |
生徒B、走り去る皓の後ろで「無理すんなよー」と声をかける。皓、そのまま更に別の教室に向かう。 |
|
凛 | 皓、静かに!客いるんだからな! |
雅 | クラスの喫茶店はどうしたんですか? |
皓 | い、行きましたよ。それで、く、黒の書記がきて…。 |
雅 | 黒の奴ら! |
皓 | 会長の身に何か起きたようなんです!教室にもいなくて…。 |
凛 | やっと黒が動き出したようだね。行くよ! |
雅 | え?行くってどこにですか? |
凛 | 決まってるだろ、プールだよ! |
凛・皓・雅、教室を出てプールに向かう。プールには黒全員と、縄に縛られた龍亮がいる。 |
|
連 | お、随分お早い到着で。 |
皓 | か、会長! |
瑳羅 | さすが、下僕なだけに勘は鋭かったですわね。白の副会長様。 |
雅 | このぉー! |
凛 | よしな雅、暴力は野蛮のすることだよ。お前さん達、龍亮に何をしたんだい?拉致なんて非道は許さないよ! |
連 | うっ…。ひ、非道だろうと関係ないね。正式な生徒会になる事、そのためには手段を選ばないのが俺達だ。 |
有栖 | (会長、またそんな堂々と言っちゃっていいんですか!?) |
連 | (いいんだよそんくらいで!)優、落とせ! |
優 | 了解。 |
優、龍亮の口に当てられていた布を外してプールに突き落とす。 |
|
龍亮 | うわっ…! |
龍亮、プールに落ちる。 |
|
皓・雅 | 会長っ! |
凛 | (まずい!水はあいつ…) |
連 | とある奴に聞いたんだよ。こいつは極度の水恐怖症だってな。 |
皓 | だからってこんな真似を…! |
有栖 | そうですよ会長、個人の弱味利用しての妨害は僕嫌ですよ! |
優 | これ、白の妨害じゃなくてただのいじめですよね。 |
連 | ええっ、なんか俺まるっきり悪者みたいじゃん! |
瑳羅 | 悪者みたいではなく本当に悪者じゃございませんこと? |
連 | まじかよ! |
雅 | 僕らからすれば黒の奴ら全員悪者だよーだ。 |
有栖 | …~僕もう限界です、早く白会長助けようよ! |
優 | でも泳ぐの苦手…。 |
プールサイドでいざこざが始まる。瑳羅、一人プールを見やり龍亮の様子に気付く。 |
|
瑳羅 | あら、あの目の色は…。 |
優 | え?…あれ、目の色が…。 |
有栖 | 会長、あれって…。 |
連 | なんだよ、まだ何かあるのか…よ…。え、あれ? |
皓 | とんずらしようったってそうは…あれ? |
一同、プールサイドを見る。 |
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晴鵺 | …やっと出られたと思ったらずぶ濡れかよ。誰だよ落とした奴!寒いじゃねーか! |
有栖 | 会長、まさか白会長と晴鵺って人間違えたんじゃないですか!? |
優 | いくら2人がそっくりだからって…。 |
連 | いやそんなはずは…だって目の色違ったぞ!? |
雅 | え?違う人…なの? |
皓 | 目の色以外は会長と瓜二つのようですが…。会長はあんな下衆な言葉遣いはしませんよね。 |
凛 | やっちまったか…。 |
BGM有の場合FO。別のBGMが流れる。 |
|
嶂 | …で、やっとこさ見つけて来てみたら…。白と黒がおるのは予想の範囲内やったけど、なんで龍亮がおらんのや? |
連 | 落としたのは龍亮のはずだったんだよ。なんで晴鵺が…? |
優 | 連れて来たのは確かに白会長だったのに…。 |
雅 | その前に拉致自体犯罪でしょうが! |
瑳羅 | 私はどちらであっても構いませんことよ。 |
皓 | 聞き捨てならないですね、その言葉。 |
有栖 | 白会長はどこに行っちゃったわけ? |
凛 | ……そこにいるのが龍だよ。 |
一同 | へっ!? |
嶂 | どういうことや? |
凛 | それはあたしの口からは言えないよ。本人に聞きな。 |
皓 | 本人って…、そこにいるのはハルヤっていう他人じゃないですか。 |
連 | 案外他人じゃないんじゃないのか?晴鵺は龍亮のこと随分知ってたようだし。 |
晴鵺 | へぇ、随分察しがいいな。 |
連 | いいなってお前…。晴鵺、お前本当に何者なんだ? |
晴鵺 | 俺は俺だ。あいつ…龍亮のもう一つの人格ってやつ。 |
嶂 | 二重人格…? |
晴鵺 | そう、それそれ。 |
皓 | 会長が?そんな事一言も言って…。 |
凛 | そんな簡単に信じられない話、龍がそうそう話すと思ったか? |
皓 | …確かに…。 |
晴鵺 | 昼間はあいつが起きてるから俺は動けねんだよ。だからいつも、あいつが眠ってる時しか俺は動けなかった。今は水に落とされた拍子に気絶したから俺が出られたけどよ…。 |
嶂 | だからいつも会うのは学校の外だったんか。 |
雅 | でもなんでそのもう1人の会長が会長をプールに突き落としたわけ?そんな事してもし白会長が死んだら、自分だって死んじゃうんじゃないの? |
瑳羅 | 案外死にたがり屋なんじゃございませんの? |
晴鵺 | 誰が死にたがり屋だ、ギリギリお嬢。 |
瑳羅 | なんですってえ!?この私に二度もそれを言いましたわね! |
優 | あー、また…。 |
連 | だから落ち着けっての、瑳羅! |
連、瑳羅の腕を掴んで押さえる。瑳羅、背後で喚く。 |
|
皓 | で、会長が死んだらあなたも死んでしまうんじゃないんですか? |
晴鵺 | てめぇ馬鹿か?それがないから龍亮をここに突き落とすことを考えたんだ。 |
雅 | だって同じ体なんだから死んだら…。 |
晴鵺 | 水が嫌いなのはあいつだけだ。別にこの体は金槌じゃないし、俺なら溺れることもない。死ぬのはあいつだけで俺は生き残る。そしたらこの体は本当の意味で俺のものになるんだ。 |
連 | そうなったら白の頭は完全に消え去るってことか。まあ…悪くないなぁ。 |
有栖 | 会長、そんなことしたら僕ら人殺しになっちゃいますよ!! |
連 | じょ、冗談だっつの。 |
皓 | 例えそれでも、その体は会長のものですよね。その姿であれこれされるのは、白の人間以前に許しがたいですね。 |
雅 | 早くもとの会長にもどしてよ! |
晴鵺 | やだね。 |
白一同、晴鵺に詰め寄り言い合いになる。瑳羅、見とれる連の押さえが緩んだ隙に脱走。 |
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連 | あっ…、瑳羅! |
瑳羅 | もう…あれこれと騒がしいですわね!ちょっとおどきなさい! |
瑳羅、白一同を押しのけ晴鵺に詰め寄り、頬を平手打ちする。 |
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瑳羅 | これは初めてお会いした時と、さっきのお返しですわ。言っておきますけど、私はあなたが何者であろうと嫌いですし、二度も侮辱の言葉を私にかけた事が何より許せないだけですわ。 |
瑳羅、踵を返してプールを去る。一同、あっけにとられ沈黙。その間に龍亮が覚醒する。 |
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龍亮 | あれ、なにやってんだ? |
一同、一斉に龍亮を見る。 |
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皓 | 会長!元に戻ったんですね!? |
龍亮 | もとに…?…そうだ、突き落とされて…。 |
凛 | ばれちまったよ、晴鵺の事。 |
龍亮 | ! |
凛 | どうするんだい?話しちまうしかないんじゃないかい?あいつは龍の水嫌いを知った上で黒会長に仕込んでやらせたんだ、もう隠し続けるのは通用しないよ。 |
皓 | 会長…。 |
嶂 | 話したほうがスッキリするもんやで。 |
雅 | そうだよ、ここまできて知らん顔はさせないからね、会長! |
龍亮 | …わかった…。 |
人ごみFI。エンターテイメント的なBGMと共にゲームの司会の声が遠くから聞こえる。 |
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皓 | 夜は冷えますね…。会長、お茶いれてきました。 |
龍亮 | ありがとう。 |
皓 | 凛さんと雅さんもどうぞ。冷えは女性の大敵ですからね。 |
凛 | サンキュー。 |
雅 | ありがとうございます! |
連 | 俺には…。 |
皓 | あるわけないじゃないですか。僕のクラスの特製なんですからね。 |
有栖 | あとで会議室でいれてきますから、会長。 |
連 | ちぇー…明日金払って飲めってことかよ。 |
凛 | さて、話すんだろ? |
龍亮 | あぁ…。 |
凛 | あんまりためらってると寒くなるからな。風邪引く前に早めに話したほうがいいんじゃないか? |
雅 | 早く聞かせてよ、会長。 |
龍亮 | …まだ小さい頃、俺とあいつ…晴鵺は双子の兄弟だった。 |
嶂 | 双子、やったんか…どうりで瓜二つなわけや。 |
龍亮 | 家族で海に行った時に事故に遭って、俺と晴鵺は岩にぶつかって…。あいつは即死した。俺は重体だったけど助かって、でも目が覚めたのは事故に遭ってから1年後だった。 |
ノイズ音と共に波の音が入る。車が岩にぶつかる音の中、幼い龍亮が晴鵺の名を呼ぶ声が聞こえる。 |
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龍亮 | 目が覚めた時、俺の中にあいつがいるって気付いた。あいつはありったけの恨みと憎しみを抱えて、眠ってる俺の中に入り込んできてたんだ。 |
連 | それで龍亮と敵対する俺らに手を貸したわけか…。 |
龍亮 | 薄々は気付いてた、晴鵺の目的には…。でもこれは俺の体だ。あいつの体じゃない。あいつに乗っ取られるわけにはいかないんだ! |
皓 | そうですよ!黒の味方して、しかも会長を殺そうとする奴なんかに乗っ取られたら…それこそ終わりです! |
雅 | 僕もそう思う!会長に不良姿はちょっとおいしいけど! |
龍亮 | …生徒会としてあるまじき発言してないか雅。 |
凛 | で、どうするんだい?眠ってる時に出てこられたんじゃ、白にとっちゃ百害あって一利なしだよ。 |
龍亮 | そうなんだよな…。 |
連 | 俺としてはそれでいいんだけど。妨害がばれることなく事を進められるしな。 |
雅 | なにおー!? |
嶂 | 確かにそれじゃ不釣合いになるわなあ…。ほんじゃあいっちょ、俺が力貸そうか? |
龍亮 | 力って…どうするんだ? |
嶂 | 簡単なことやん。晴が何かやらかそうとしたら白にちくればええんや。 |
連 | おい、そりゃないだろ! |
嶂 | 連、報道部は中立の立場やで。ここで白と黒の均衡が崩れてみい?学校崩壊になりかねんで? |
連 | う…。 |
嶂 | まあ落ち着きや。そのための報道部や、双方の均衡が保てるよう情報提供はするで。 |
連 | ん~……しょうがねぇな。 |
優 | 会長!僕嫌ですよ!? |
有栖 | でも白の情報提供はけっこうプラスになる…。僕はいいと思うよ、優。 |
優 | …瑳羅さんが何て言うか知らないよ。 |
嶂 | 決まりやな。白の方々はどうなんや? |
凛 | いいんじゃないかい?別に。 |
雅 | うーん…打つ手なしよりはましかもね。 |
皓 | 黒の連中にまで情報が漏れることになるのはちょっとマイナス過ぎますね…。僕はあまり賛成できません。 |
凛 | 龍、あんたはどうすんだい?決めるのはお前さん自身だよ。 |
龍亮 | …引きうけてくれ、嶂。 |
皓 | 会長! |
嶂 | 決まりやな。…っと、もうこんな時間やったか。そんじゃ、そろそろ仕事があるさかい、帰らせてもらうで。 |
嶂、屋内に入る。 |
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連 | おぉ、またなー。じゃ、俺らも戻るとすっか。明日の準備もあるしな。 |
優 | そうですね。 |
有栖 | 僕はもうちょっとお祭見てから戻ります。 |
連 | 早めにしろよ。瑳羅サボってる分しんどいんだから。 |
有栖 | 分かってますよ。 |
連・優・有栖、屋内に入る。 |
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龍亮 | じゃ、俺らも戻るか。 |
皓 | そうですね。 |
龍亮・皓、屋内に入る。雅と凛も後に続くが、ふと雅が脚を止める。 |
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雅 | そういえば、なんで凛先輩は会長が二重人格だって知ってたんですか? |
凛 | 昔色々あってな。…嫌でも知っちまったんだよ。 |
雅 | 色々、ですか…。 |
凛、龍亮の背中を見届けて屋内に入る。全音FO。 |